ほろ酔い工芸

ほろ酔い工芸2023~ガラスと陶器の酒器と話題の県産ガレージワイン

今年は5月20日(土)の一日限定開催!立ち飲み式に戻ります♪
内容:お好きな器1点 + 飲み物(ワイン)1杯 + おつまみ盛り合わせ
チケット:前売=4,000円/当日=4,500円

ようやく飲酒イベントができる空気が戻りはじめた昨今。
「ほろ酔い工芸」は満を持して「県内産ワイン」を取りあげます。
”ブーム”だったひと頃を抜け、今やしっかり定着した感のある日本のワイン。
葡萄産地として有名な我が長野県は、大小のワイナリーが点在する日本の”ワイン首都”のひとつといえます。
今イベントでは、そんな県産のワインのなかでも、小規模ワイナリーによる「ガレージワイン」に着目。
それを県産のおつまみとともに、県内在住作家による酒器で楽しんでいただけます。
そうそう、今年の開催は1日限定開催なのでご注意を。
見逃したくない人は、お得にもなる事前予約をぜひご利用ください。

 

森章子

埼玉に生まれ、長野県上田市を拠点に作陶している森さんは、近隣の農家からいただくリンゴや葡萄の枝、小布施まで足を運んでもらってくる栗の鬼皮など、果樹の灰を釉薬にした器で定評があります。

「同じ釉薬でも、白土の器にかけるのと黒めの器とでは、表情がガラッと変わるの。
温度とかの条件でも全然違う結果になるし、ホントおもしろい」。そう話す森さんは、とても柔らかく、そして何かイタズラをしかけた子どもみたいな表情。その手から生まれるのは実用の器にとどまらず、アルパカや豚、うさぎなどリアルかつユニークな動物のオブジェなどと多彩です。

同じ人物がつくったとは思えないバリエーションの豊富さは、森さんの興味の広さと遊び心の現れ。今回用の器も豊かな品揃えが期待できそうです。

森章子[Shoko Mori]
https://www.instagram.com/morisho555/


寺西将樹(ガラス工房 橙)

宿場町の風情漂う長野県東御市・海野宿。寺西さんはその街道沿いで、奥さまの真紀子さんと工房兼ショップを運営しながら、ガラス制作の日々を送っています。代名詞的存在なのが、地元の特産品である胡桃の殻を使った「胡桃ガラス ®」。

お訪ねした日も、専用の炉で殻を丹念に燃やす様子を見せてくださいました。その灰とガラス原料とを混ぜて作る作品は、独特の淡い緑色が魅力で、お猪口などの小さなものから大きなボウルまで、シリーズとしても人気。ほかに、色ガラスを使ったカラフルなものなど、作品バリエも豊富です。

「ほろ酔い工芸」への参加は2回目となる寺西さんですが、テーマのワインに合わせ、前回の蒸留酒とは違った展開を見せてくださるそう。「酒呑みが作る酒器だから、間違いない」とニコリ。

寺西将樹[Masaki Teranishi](ガラス工房 橙)
https://glass-studio-daidai.net/


藤田千絵子(陶房 f.)

「シンプル」と形容してしまうとそれまでなのですが、藤田さんの器は、そこに収まらない明るさや温かさ、柔軟で広い包容力でわたしたちを惹きつけます。

ほんのりとした体温を感じさせるような柔らかい白の半磁器、一瞬金属かと見まごうような黒土の器などなど。つくりだす作品は幅広く、尽きない探究心を思わせますが、すべてに共通するのは、毎日の生活に静かに寄り添う無理・無駄のない佇まい。

「ろくろで同じ形を揃えて作るのは難しいんですが、得意なんです。作家より職人という感じかもしれません」との言葉に、試行錯誤で辿り着いた「シンプル」に対する、確固とした自信が感じられます。今回の「ほろ酔い工芸」でどのようなワイン用の器が生み出されるのか、楽しみが募ります。

藤田千絵子[Chieko Fujita](陶房 f.)
https://www.instagram.com/fu.chieko/


安藤項司

安曇野市にある「あづみ野ガラス工房」に参加していた安藤さんは、今年2023年に工房を卒業。ガラス作家として新たな一歩を踏み出しています。

多摩美術大学に入った頃はグラフィックデザインの道も考えていたという安藤さんに、ガラス制作を選んだ理由を尋ねると、「写真との相性が良い気がしたから」という意外な理由が返ってきました。そんな彼の卒業制作は、板ガラスにシルクスクリーンで写真を印刷した作品。透明なガラス板に刷られた写真は、背景が透けて見えて不思議な視覚的効果を生み出し、まさにグラフィックデザインとガラスとの融合です。

もちろん、普通に使えるガラス器づくりも楽しんでいる安藤さん。ワイングラスの制作にも「いろいろなタイプに挑戦したい」と意欲を見せてくれました。

安藤項司[Koji Ando]
https://www.instagram.com/ando.ko_ji/


寺松尚美(あづみ野ガラス工房)

富山県に生まれ、2019年に多摩美術大学を卒業した寺松さん。絵を描くことも好きで美大に進みましたが、入学後にガラス制作に出会って魅了され、卒業の翌年から「あづみ野ガラス工房」の活動に参加しています。

以来、工房の仲間たちとガラスづくりを楽しみながら研鑽を積んでいる真っ最中で、お酒が飲めるようになってからは、飲むときもついグラスの具合をしげしげと見てしまうとか。「薄いグラスで飲むとおいしかったりして、感心しちゃいます」という言葉にも、制作への探究心と好奇心があふれています。

「ガラスづくりは自分に合っていると思う」。そう話す彼女が日々の経験と学びの成果でどんなワイングラスをつくってくれるのか……期待大です。

寺松尚美[Naomi Teramatsu](あづみ野ガラス工房)
http://www.azumino-glass.com/cn9/naomiteramatsu.html


あさひ堂

最後に、ワインに合うつまみをつくってくれる、松本の人気店『あさひ堂』について。
田中俊介さんと中野達徳さんが2019年に開業した同店は、近郊の朝日村の野菜を中心に、地元の食材を美味しく使ったお料理で定評です。

今回は特製パテ、信州サーモン、朝日村産直野菜のおいしい組み合わせを考えてくれました。
パテには荒く刻まれた砂肝となんこつが加わり、食感も楽しめる工夫が。添えられたレモンソースは、ワインとの繋ぎ役も果たしてくれます。

朝日村在住の田中さんは、「食材の新鮮さが料理にとっていかに重要かを知ってほしいです。こういう食材があるんだ、こういう村があるんだって知ってもらえたらうれしいです」と話します。

あさひ堂
https://snack-bar-3727.business.site/

文・大輪俊江
写真・モモセヒロコ


  • 【第11回】ほろ酔い工芸

    ガラスと陶器の酒器と話題の県産ガレージワイン。今年は一日限定開催!立ち飲み式に戻ります♪
    日時|5月20日(土)13:00〜18:00(なくなり次第終了)
    場所|三代澤酒店